ジンガサハムシ
Aspidimorpha indica
ジンガサハムシの成虫はスキバジンガサハムシに酷似し、食草も同じヒルガオ類なので、同定には注意を要する。ジンガサハムシは背中の突出(図2の矢印)が強いことで、スキバと区別できる。翅の色に関して金色型と黒色型がある。文献[1]によれば、成虫は4月から9月に見られ、年2化(未確認らしい)、全国的に分布するらしい。
成虫
文献[1]には成虫の体長は7.2-8.2mmとなっているが、飼育個体で体長6mmのものが得られており、大きさでは分けられない。
下の4枚は、飼育した同一個体で、おそらく金色タイプ。体長8mm。
下の4枚は、飼育した同一個体で黒色型。体長は6mmと小型。
幼虫
ヒルガオ類には、スキバジンガサハムシとクロマダラカメノコハムシもつく。クロマダラの方の幼虫はまだ不明らしい[1]。ジンガサハムシの幼虫の場合、前胸背面に黒褐色の紋がある型(以下有紋型)と無い型(以下無紋型)がある。文献[1]によると、スキバジンガサハムシには黒褐色の紋は出ないようなので、有紋型はジンガサハムシと言えそうだ。無い場合は体側突起の長さで分けられ、ジンガサの場合体側突起の長さは後胸の幅の1/2より長く、スキバでは1/2より短いそうだが、ちょっと難しそう。
学研の幼虫図鑑[4]には、黒褐色の紋が無いとスキバのような記述があるが、これは間違い。
下の3枚は有紋型の幼虫。黒褐色の紋は脱皮殻にも残るので、わかりやすい。この型の幼虫は4個体羽化したが、金色型と黒色型の両方が出、大きさも6mm〜8mmまでいろいろ出た。特に関係はなさそうだ。
下の2枚は無紋型の幼虫。この型は1個体のみ飼育して、羽化したのは体長6mmの黒色型(図9-12)であった。
蛹
蛹化する前に、少し歩き回ることが多いようで、食草の葉裏で蛹化するものもいたが、プラスチックケースやティッシュで蛹化するものもいた。蛹の期間は、5日ほど。羽化直後の翅は透明。
下の2枚は、有紋型。
下の2枚は、無紋型。
羽化
羽化が近づくと目が黒くなり目立つようになる。カメラをセッティングしていたら、偶然羽化を始めたので、何枚か撮影してみた。これは無紋型。
実物大画像
体長8mmの成虫(図1)と、体長5mmの5齢幼虫(図13)。
x1 <24.1mm> | x1 <18.2mm> |
学名について
文献[1]では属名が Aspidomorphaになっているが、これが間違いという風に書いてあるサイトもあって[7]、そちらを信用することにした。それから北隆館の昆虫大図鑑[3]ではA. difformisとなっている。それから文献[5]では属名がAspidiomorphaとなっている。実際のところどれが正しいのかは良くわからない。うーん、どこもかしこも混沌としているなぁ。
参考文献
- [1] 木元新作・滝沢春雄 (1994) 日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説. 東海大学出版会
- [2]原色日本甲虫図鑑 IV 保育社
- [3]原色昆虫大圖鑑II 北隆館
- [4] 日本産幼虫図鑑 (2005) 学研
- [5] カメノコハムシ絵とき検索: ジンガサハムシ (http:// www2.mus-nh.city.osaka.jp/ learning/ Ent/ Cassidinae-key/ indica.html)
- [6] カメノコハムシ絵とき検索: スキバジンガサハムシ (http:// www2.mus-nh.city.osaka.jp/ learning/ Ent/ Cassidinae-key/ transparipennis.html)
- [7] Cassidinae of the world: Aspidimorpha Hope, 1840 (http:// www.biol.uni.wroc.pl/ cassidae/ katalog%20internetowy/ aspidimorpha.htm)
- [8] Aspidimorpha transparipennis (スキバジンガサハムシ) (http:// www.biol.uni.wroc.pl/ cassidae/ katalog%20internetowy/ aspidimorphatransparipennis.htm) > 画像はこちら (http:// www.biol.uni.wroc.pl/ cassidae/ katalog%20internetowy/ aspidimorphatransparipennisfig.htm)
- [9] 植物雑学事典: コヒルガオ (http:// had0.big.ous.ac.jp/ plantsdic/ angiospermae/ dicotyledoneae/ sympetalae/ convolvulaceae/ kohirugao/ kohirugao.htm)
- [10] 鎮(チン)さんの自然観察記~写真録~(2008年7月13日) (http:// geocities.yahoo.co.jp/ gl/ tanatinsan/ view/ 20080713) —— ジンガサハムシを飼育されたようだ。やたらと詳しい。この後15〜18日までジンガサハムシの記事が続いている。
履歴
- 有紋型から黒色型が出たので、手直し。
- 学名をAspidimorphaの方に変更。
- 飼育個体が羽化したので、蛹、新成虫等を追加。
- 黒色型成虫追加。
- 作成。