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イノコヅチカメノコハムシ
Cassida japana


ホストはイノコズチ。成虫の体長は5-6mm(実測)。成虫は5月下旬から8月上旬まで見ている。東京都で見られるカメノコハムシの中では、最も普通と思う。長い間ヒメカメノコハムシのシノニムとして扱われてきたが、最近、分離されたらしい。詳しいことは、「今坂正一とE-アシスト—最新ハムシ事情図説2」 (http:// www.coleoptera.jp/ modules/ xhnewbb/ viewtopic.php?topic_id=46)を参照。違いをまとめると、ヒメカメノコハムシはアカザをホストとし、成虫は黒い紋を持つ。一方、イノコヅチカメノコハムシはイノコズチをホストとし、成虫は無紋。

成虫

大きさは5-6mm。5月下旬頃からイノコズチの葉上で見られる。図1は交尾中で、左側が♂。図2は羽化後間もないと思われる新成虫で、透明感があり、ジミな成虫とは別物に見える。

確認できてないが、イノコズチで複数見られたので、おそらく卵ではないかと思う。一枚の葉に1〜2個という感じで、散発的に産みつけられていた。写真はすべて葉裏にいたものだが葉表にもいた。透明な膜のようなもので包まれている。大きさは1.2x0.5mm。何枚か撮影したが、産み方に違いが見られた。1は単独、2は糞付き、3は2連。4は3をトリミングする前の画像で、2連が近くに並んでいた。ひょっとすると個体によって癖があるのかもしれない。

幼虫

図4に1齢から5齢(終齢)までの幼虫の写真をまとめた。スケールはあわせてある。突起物を除いた大きさは、1齢幼虫で1.5mm、終齢幼虫で4.5-5.5mm。6月20日ごろ(2008年)一斉に孵化したようだった。6月30日頃には5齢幼虫が見られたので、幼虫の期間は2週間ぐらいかと思う。蓑は、脱皮殻を連ねて作られ、1齢のときだけ糞をつける。この糞は、2齢以降も残っているが、だんだん取れていく。蓑は、真後ろに寝かせていることが多いが、垂直に立てることもある。蓑の作りはけっこうしっかりしているようで、齢数が読みやすい。幼虫は葉裏にも葉表にもいて、特に偏っている感じはしなかった。

なかなか見つけられず、葉上では蛹化しないのかと思ったが、一個体見つけられた。もう少しわかりにくい場所で蛹化しているのかもしれない。写真は、葉表で蛹化しているところ。蓑を立てているようだ。蛹の期間は10日ぐらいではないかと思う。

食草

幼虫、成虫ともイノコズチ(こっちはスに点々ですか?)の葉を食べる。イノコズチに関する詳しい情報は、「植物雑学事典:イノコズチ」 (http:// had0.big.ous.ac.jp/ plantsdic/ angiospermae/ dicotyledoneae/ choripetalae/ amaranthaceae/ inokozuchi/ inokozuchi.htm)を参照。ヒナタイノコズチというのがいるらしいが、区別ができてない。図7がそのイノコズチ(たぶん)。多数の穴は食痕で、赤い矢印の先に幼虫が写っている。

生息場所

イノコズチが生えている場所では、たいていこのイノコヅチカメノコハムシを見ることができる。日陰に多く、東京都府中市内の公園や神社(児童公園とかにもいる)、多摩丘陵の公園、高尾山の沢沿いの道(6号路や日影沢等)で、よく見れる。ただし公園の場合は草刈りの影響が大きい。

実物大画像

実物大
x1 <18.0mm>
実物大
x1 <24.6mm>

(余白)