SUNPAK製のストロボPF20XDの改造方法についてまとめました。 ヘッドの分離、 出力範囲変更(1/2〜3/256まで、1/2段単位)、 LEDライト用電源の内蔵を行っています。
知識が無い人が作業すると非常に危険です。 もし改造される場合は自己責任でお願いします。
※農閑期にでも作って売ってみるかなぁ…。2万円ぐらいで売れませんかね。
SUNPAK製のPF20XDというストロボは単4電池2本で動作する小さなストロボで、 マニュアルで5段階の調光が(1,1/4,1/8,1/16,1/32)できます。 このストロボを以下のように改造しました。 (1)発光部を取り出し延長、 (2)出力範囲の変更、 (3)ピント合わせ用LED電源の内蔵。
ストロボの出力は抵抗でのみ切り替えられていたので 市販のロータリースイッチを使い出力の切替範囲を広げます。 範囲は1/2から3/256まで1/2段単位12段階としました。 ロータリースイッチは小さなものを使うと 取り出した発光部の場所に収めることができます。
スペース的に余裕があるので、 ピント合わせ用LEDの電源を本体内に収めました。 off,6mW,30mW,120mWの3段階切替としてみました。 LEDの出力切り替えには使用しなくなったロータリースイッチを流用しました。 ただしこれはやや難しいです。
下の写真のようなものが出来上がります。
1は元々は出力切り替え用ですが、LEDの出力切り替え用に流用しています。
2は電源スイッチで変更ありません。
3は充電完了ランプとテストスイッチでこれも変更ありません。
4は追加した12接点のロータリースイッチでストロボの出力切替用です。
5はコネクタ、6はヘッド(発光部)です。
LEDは発光部に埋め込んであります。
下は現在使用している高倍率撮影システムに取り付けたところです。
2灯あって、2hは上のヘッドと同じです。
1hはエッジライト方式になっていて、リングストロボ風に光ります。
まだあまり使ってませんが、ISO200にすれば、出力には余裕があります。
本体回路図です。
出力切替部の抵抗R1-R12の値は以下の通りです。 この値は2〜3年前にやや雑に測定したので(よく覚えていない)、 精度が悪いかもしれません。
シンボル | 抵抗値 | パワーレシオ |
---|---|---|
R1 | 20k | 3/256 |
R2 | 22k | 4/256 |
R3 | 27k | 6/256 |
R4 | 33k | 8/256 |
R5 | 39k | 12/256 |
R6 | 47k | 16/256 |
R7 | 62k | 24/256 |
R8 | 82k | 32/256 |
R9 | 110k | 48/256 |
R10 | 150k | 64/256 |
R11 | 220k | 96/256 |
R12 | 330k | 128/256 |
LEDの電源は電池を流用する時点であまり多くの電流は取れないので、 最大出力は120mWとしてあります。今のところ問題なく動いています。
C1は、 本体のロータリースイッチを流用するために、 そこにつながっている部品をすべて外すのですが、 そのうち必要なものです。
トリガートランス(T1)は、キセノン管の近くに置きます。 よくネット上で トリガートランスの高圧側の線(白い線)を延長しておられる方を見られますが、 ここは3000V程度の高電圧がかかりますので、 できるだけ短くした方が良いと思います。
LEDには最大40mA流れますので、それ以上の定格のものを使ってください。
メインコンデンサ300Vの高電圧がかかっています。 一週間程度経過しても残っているので注意してください。 感電してショック死するとか、 ショートによる爆発的な現象でものが飛んできて失明するとか、 いろいろな危険性等が考えられます。 けがをしなくても何かの部品を壊す可能性が高いです。
ケースを開けたら必ず放電処理してください。
放電するにはメインコンデンサの2極間に100kΩ程度の抵抗をつないで
しばらく放置してください。
5分ぐらいすればだいぶ減ると思います。
10V程度になればエネルギーは1/1000になるので大丈夫と思います(たぶん)。
外部ケーブルをニッパ等で一気に切断するようなことはしないでください。 パーンというものすごい音がして爆発的な現象が起きます。 ※ヤッタンデスネ? ウゥ、ヤバイヨオレ…
トリガートランスの高圧側は 発光時に3000Vという高電圧が発生しますので 注意してください。 この出力はキセノン管のゲートに繋がりますが、 キセノン管の表面には導体がコーティングされているので、 同じく注意してください。 反射材としてアルミ版が接触している場合も同じく注意してください。
ある程度丈夫に作っておかないと、 壊れやすい素材を使っていると危ないと思います。
一カ所から購入できると良いのですが、売ってませんから…。 送料が増えるとか、少ししか使わないとかで、 通販で必要なものを揃えるだけで2万を大幅に超えるんじゃないでしょうか?
SUNPAK製PF20XD。これが無いと始まりません。
ストロボの出力切り替え用です。 日開のMR-K112という1回路12接点の部品を使います。 これが入手可能な一番小さいものだと思います。 これより大きいとケースに収まりません。 データーシートはアドレスがわからないので、 日開のホームページから ダウンロードしてください(MRK112で検索)。 マルツパーツ館から 購入できます。 型番が違うと別の部品になるので注意してください。
ストロボの出力切り替え用(R1〜R12)には1/6W標準サイズ品
(もしくはチップ部品)を使ってください。
大きすぎるとケースに入らないかもしれません。
千石電商で扱っている1/4W小型品でも大丈夫です。
LEDの出力切り替え用(R13〜R15)は、1/4Wの標準サイズ品で良いです。
オリジナル基板のスルーホールに電線通してハンダ付けするのですが、 穴が小さいので細い線が必要になります。 0.26mmのワイヤラッピング用電線が良いと思います。 ジュンフロンFTFE電線 0.26mm X 7色とかです。
非常に大きな電流が流れますが、一瞬なので細い線でも大丈夫みたいです。 九州電気のSVCTF 0.14sq 6芯あたりで良いかと思います。 導体は0.12mm x 12本、外径は5.5mmで柔らかいです。 銅の抵抗率0.0171(Ωmm2/m)とし、 1mあたりの抵抗を計算すると約0.13Ωとなりますから、 ケーブル長を0.5mとすると0.065Ωになります。 200A流れたとき12Vのロスがありますので12/300=0.04で4%程度の損失になります。
外部ケーブル用のコネクタです。
ELコネクタというのを使ってみました。
4つの部品が必要で通常はバラで売ってます。
写真は、
1.レセプタクルハウジング(ELR-06V)、
2.プラグハウジング(ELP-06V)、
3.ピンコンタクト(SLM-01T-P1.3E)、
4.ソケットコンタクト(SLF-01T-P1.3E)、
5.外部ケーブル(SVCTF 0.14sq 6芯)です。
コンタクトピンは電線の太さによって3種類あるので注意してください。
今回使用した電線はAWG26程度なので一番小さいものを使います。
1に3を2に4を差し込むようです。
共立に
使い方が載ってます。
レセプタクルの方を本体側に使いました。
ピン番号はコネクタに記載されています。
定格は300V,10Aで、定格をはるかに超える電流が流れますが、
一瞬なので大丈夫みたいです。
耳は何に使うのかよくわかりませんが不要と思ったので切り取りました。
電池2本から5Vを生成するモジュールです。
LEDの電源用です。
秋月のコレを使いました。
LEDは40mA以上流せるものが必要です。 ここでは日亜のNSPWR70CS-K1(b6P8)を使いました。 千石電商で売ってます。
C1は元基板のC19の代わりですが、 ロータリースイッチを流用しない場合は、部品を外さないので不要です。 フィルムコンデンサで良いと思います。
0.4tの曲がる万能基板を使いました。 金物が切れるハサミで切断できるので加工が楽です。
セメダインX、 熱収縮チューブいろいろ、 配線用電線、 ABS版等(穴を塞ぐためのもの)。
工具いろいろ。
ヘッド作成用素材いろいろ。
シールをはがします。
表側右下にあるプラスチック部品を外します。 両面テープで止められているだけなのでマイナスドライバーなどを差し込んで 力ずくで取り外します。 丸いのと細長いのがあり、写真では両方外してありますが、細長い方だけでよいです。
下側4カ所、表1カ所、裏3カ所のネジを全部すべて外す
ケースを少し開けます。 テープで止まっている部分があるので、 やや抵抗があるかもしれません。 開いたら裏から見えるコネクタを外します。
ケースを開けます。 なお写真のようにすると、ホットシュ—との接続用部品がポロリと落ちて ショートする可能性があるので、よくないですね。
すぐに放電します。
前側のケースに付いている小さな基板を外します。 これは、自動調光とスレーブ発光用なので、使いません。
バルブを固定してある白いプラスチック部品を外します。 周りの4カ所でネジ止めされています。
基板を外します。ネジは4つあります。 メインコンデンサの下の一つがやや見にくいかもしれません。
バルブにつながっている赤黒白3本の電線を基板側から外します。
トリガートランスを外します。基板右下の青い部品。 ハンダ吸い取り線があると作業しやすいかもしれません。
とりあえず、分解終了
ロータリースイッチで抵抗を切り替えるだけです。 抵抗はロータリースイッチの周りに取り付けます。
ロータリースイッチのコモン以外の足をカットし、半田を盛っておきます。
抵抗をハンダ付けしていきます。
反対側の足をカットしてスズメッキ線でつなぎます。
完成
0.5tのガラスエポキシ板を丸く切り、 丸く切った銅箔をセメダインXで貼ります。 これをロータリースイッチの裏に貼ります。 ここにチップ部品をセメダインXで接着していきます。 導体との間にセメダインXが入らないように注意してください。 写真では2個直列にしているところがありますが、 手持ちの部品が無かったためでです。
コモン以外の足をカットしてハンダ付けします。
主にLEDの電源用です。
増設基板は前側のケースに取り付けることにしました。
M2x4mmのインサートナットを
下穴を少し掘りセメダインXで接着しました。
やや無理な工法でした。
ホットボンドの方が良かったかもしれません。
2つしか立てませんでしたが、3つにした方が安心と思います。
基板は、0.4tの曲がる万能基板を使いました。
金物が切れるハサミで切断できるので加工が楽です。
裏です。
C1は元基板から外したC19をそのまま使いましたが、
ハンダ付けがとても難しいので、
リード線のついた部品を使った方が楽です。
出力は12段階にの変更は 市販のロータリースイッチ を別途使います。 もともとあったロータリースイッチは、 LEDの出力変更用に利用します。 やや面倒ですが…。 基板の 部品を取り外します
チップ部品の取り外し方は以下のようにします。
下図のようなリード線をL字形に曲げたものを作ります。
これをラジオペンチではさみ、
半田を少し盛り、
部品の横に沿わすようにし、
半田ごてで部品の両端を同時に暖めるようにします。
半田が溶けたと思ったら、少しずらしながら上に持ち上げると、
リード線か半田ごてに部品がくっついてくるので、
これをたたき落とします。
半田を盛る作業は毎回行います。
1-3:R39,R40,R41を取り外します。
4:Xの部分のパターンをカットします。カッターナイフで削るようにします。
5:青丸のあたりに電線を通すため2mmぐらいの穴を開けます。
ロータリースイッチと干渉しないよう、基板表にあるコンデンサを傷つけないよう、
位置に注意します。
R36,R37,R38,C16,C17,C18,C19を外します。
C19は必要なのですが増設基板に追加しました(C1)。
小さなスルーホールを利用して配線します。
非常に小さいのですがワイヤラッピング用の電線がぎりぎり挿入できます。
ハンダ付けは裏側から行います。
半田がついているかどうか肉眼ではまったくわかりませんので、
ルーペとテスタで確認します。
穴は2つずつ開いているのでどちらを使っても良いです。
シンボルは、回路図のものと同じです。
写真は裏側の配線を行った後ですが、裏の配線は後から行います。
右側にネジを立ててありますが、この時はここに増設基板を置いたためです。
シンボルは回路図と同じです。
AとBは線の色を変えた方が良いです(このときは関係ないと思ってました)。
Aは4つスルーホールがあって、ネジ穴の近く以外の3つならどれでも良いです。
BはICのピン2本とつないでますが、どちらか一方で良いです。
電線は基板に開けた穴を通して表に出します。
青い部分はロータリースイッチと基板を止めるネジが来るので、
干渉しないように電線を回します。
ロータリースイッチを流用しない場合はだいぶ簡単になります。
赤い線でしめしたように金メッキされた接点2カ所にハンダ付けします。
青い線は2の位置にあるスルーホールに差し込んでハンダ付けします。
この2本の線を出力切り替え部につなぎます。
極性はありませんのでどちらをつないでもかまいません。
ケース裏にあるロータリースイッチのバネ製の接点を取り外します。
真ん中のネジを外すと取れます。
写真は取った後です。
前側のケースにロータリースイッチ取り付け用の穴を開けます。
2は空転防止用のストッパーの穴です。
3は外部ケーブル用の穴で、大きさはケーブルの太さより少し小さくして、
押し込むようにした方が良いかもしれません。
ここでは
外部ケーブル用の穴を前側のケースに開けましたが、
後ろ側のケースに開けた方がケースの開け閉めがやりやすいと思います。
ロータリースイッチ関係の部品です。
これらがセットで販売されています。
私は適当に付けたので間違えていたようですが、
正しくは3,4を順番にはめ、5のナットで外から締め付けるようです。
2のゴムリングは使いません。
外部ケーブルと
キセノン管、トリガートランス一次側の配線は写真のように行います。
全体の配線が終わったところです。
やや難しいです。
増設基板にコネクタを設けた方が良かったかもしれません。
検討を祈ります。
蓋を閉めるときは、電線を挟まないように注意しながら行ってください。
ケースに開いている開口部を薄いプラスチックの板等で塞ぎます。
動作を確認したら増設基板のネジは緩まないようにセメダインX等で止めます。 外すときはカッターナイフを使います。
基本的に下のような感じで作り、これをケースに収めます。
青い部品がトリガートランスです。
1はトリガートランスの2次側で、
発光時に3000V程度の高電圧が発生するので注意が必要です。
キセノン管表面は透明ですが導体がコーティングされているので
ここも同じように注意する必要があります。
それから3のアルミ板ともつながっているのでここも絶縁されている必要があります。
2は0.5tのガラスエポキシ板ですが特に問題は無いようです。
接着剤としてはセメダインXの透明と白は大丈夫なようです。黒は試してません。
考えてもわからないので、とりあえず作ってみました。
ケースはアクリル板とABS板をカットして接着して作りましたが、
とても大変でした。
両方ともアクリル用接着剤(二塩化メチレン)で完全にくっつきますが、
二塩化メチレンは発がん性が疑われているらしいので使う場合は注意してください。
4枚目でキセノン管がオレンジ色っぽいのは、
色温度変換フィルムを入れてあるためです。
とりあえず適当に取り付けてみたところです。
ディフューザはワーロン紙という和紙をプラスチックで挟んだような素材で作りました。
しばらくこれで撮影していましたが、まぁまぁ良さげでした。
2枚目は直径4mmの鉄球を撮影してものですが、
高倍率撮影システムだとレンズの開口部が小さくなるので、
黒い部分が少なくなって目立ちにくくなります。
下からも光が回るようにしたかったのと頑丈にしたかったので、
作ってみましたがものすごく大変でした。
厚さ5mmのアクリル板のサイドから光を入れています。
エッジライト方式といって液晶ディスプレイのバックライト等で使われている方法です。
アクリル板の裏は紙ヤスリで傷をつけてあります。
後ろには反射材としてアルミフィルム、
表には拡散材として和紙を塩ビで挟んだ板を置いてます。
3毎目は直径4mmの鉄球を撮影したものです。
中央の黒い部分が増えてしまいリング上のストロボ痕が目立つようになりました。
上の2つの小さな点はLEDです。
このときは上に付けていました。
1、2枚目ではLEDはフードの上に仮止めしてあります。
ここだと葉っぱや指に遮られることも無く、被写体に近いので非常に明るくて良いです。
5mmのアクリル板が入ったため、やや狭くて使いにくくなりました。
2灯目の上から焚く方は、丸い方が良いと思ってこのようにしてみました。
小さくするためにキセノン管は斜めに入れてあります。
古くなったシャツを巻いてエポキシで固めてみました。
簡単に作れるだろうと思ったのですが、
何回か接着待ちがあって結構時間が掛かりました。
完全防水だろうと思って耐水ペーパーで磨いたら、
中に水が入ってしまいました…orz。
どこかに隙間があったようです。
いちおう動いてますが…。
単にパイプにしまえば良かったような気がしています。
アームはゴリラポッドを使いました。
ヘッドにLEDも埋め込んであり
モデリングランプ的な使い方ができるかと思ったのですが、
実用的にはいろいろと難しそうです。
2011年6月13日 作成