ver. 2013-02-27
生物顕微鏡用LED照明の実験回路の作り方について書きました。 とりあえず使えそうかどうか試してみてください。 出力が十分で、NDフィルターを各種お持ちでしたら、 カバーを付けるなりしてそのまま使えます。 出力を変更したいという要望を出していただければ、 考えてみるかもしれません…。
私が所有しているオリンパスのBHCの場合、 普通の明視野観察で対物40倍の場合、 3眼モードでは出力1Wで十分と思います。 2眼モードでは出力1/4Wで十分と思います。 100倍は使ってませんし、 特殊な観察方法では、よくわかりません。
ランプユニットは顕微鏡によって異なるので 参考例を示すにとどめます。
ご注意
・LEDの光を直接見ない方が良いそうです。
お子さんがおられる家庭では注意してください。
・抵抗の温度が高くなるので、
高温に弱いものとか燃えやすいものを近くに置かないようにしてください。
ACアダプターに抵抗をつなげただけです。
電源スイッチはありません。 ACアダプタの前に、スイッチを入れてください。
抵抗はネジ止めされているので、 ドライバーを使って取り替えることができます。
5VのACアダプタを使います。 いろいろな電気製品で使われているので、条件に合うものを探してみてください。 無ければ後ろの一覧表に載せたものを購入してください。
ACアダプタにはトランス方式とスイッチング方式の2種類がありますが、 必ずスイッチング方式のACアダプタを使います。 トランス方式のACアダプタは一般的に安定化されていないようなので、 今回の用途には使えません。 スイッチング方式かトランス方式かの見分け方は、 平たくてちっちゃくて軽くて電流が2Aあればスイッチング、 立方体に近くてずっしりと重くて出力が0.5A以下だとトランス式 な感じですが…。 下の写真は、右側がスイッチング式、左側がトランス式です。
出力が5Vのものを使ってください。 出力電圧は裏に書いてあります。 写真は5.25Vになってますが、それぐらいは大丈夫です。
電流は350mA必要ですが、大きめの方が良いです。 スイッチング方式のACアダプタはちっちゃくても電流容量は大きく、 2Aは普通にあるとおもいますので、探してください。
コネクタはACアダプタ側のオスをDCプラグ、 メスをDCジャックといいます。 DCプラグの外径は4mmであることを確認してください。 規格(EIAJ#2)はありますが、 古いものとか外国製だと違っているかもしれません。
極性が逆のものがあるみたいなので、 裏に書いてある図を良く見て確認してください。 内側がプラス、外側がマイナスである必要があります。
電線と電線をつなぐ目的で使用される部品です。 通常は電線の先に圧着端子を取り付けてそれをはめ込みますが、 電線をそのままつなぐこともできます。 今回は抵抗も直接つないでます。
黒い穴はM3ネジが入るようになっていて、何かに取り付けることができます。
抵抗値によって出力を変えることができます。 下の表は抵抗と出力の関係です (出力とはLEDで消費される電力のことで光になるエネルギーはその一部です)。 ACアダプタの出力電圧が5V、LEDの順方向電圧が3Vとして計算していますが、 LEDの順方向電圧は製品のばらつきや温度で変わりますし、 なにより電流にも依存するので、 とてもおおざっぱな値です。 今回使用するLEDは450mA流せるので(1.5W)少し余裕があるので大丈夫と思います。
出力*1 | 抵抗値(R) |
---|---|
1W | 5.1Ω |
1/2W | 10Ω |
1/4W | 20Ω |
1/8W | 39Ω |
1/16W | 82Ω |
1/32W | 160Ω |
抵抗で消費される電力はすべて熱に変わります。 今回の回路ではLEDで消費される電力と抵抗で消費される電力は おおむね同じなので、 出力1Wの場合定格1Wの抵抗を使えば良いのですが、 定格ぎりぎりのものを使うとものすごく熱くなる(おそらく100℃を超える)ので、 倍以上の定格のものを使います。 それでも触れないくらい熱くなってます。
下の写真はいろいろな抵抗です。 小型の抵抗の抵抗値はカラーコードで表示されています。
小出力の場合は1/4Wで良いのですが、 今回はネジ留めということで線が太い方が良いかと思い、 下の部品表では1Wの部品を選択してあります。
Vf=3Vで、スター基板に乗っており、 高演色性なものを探しまわり、 これを見つけました。
RSオンラインから入手できます。 スタンレーのGSPW1653JTE-50Zというチップを使っており、 規格は、 Vf: 3V, If: 450mA, 光束: 95lm @ 350mA, 色温度: 5000K, 演色性: Ra 95 ということです。 その他の情報は、データーシートが ここから入手できますので、見たい方はどうぞ。 なお、RSオンラインは個人でも利用可能ですが、 支払い方法に制限があるそうです(代引きのみ)。
下の写真はいろいろな出力でグレーカードを撮影したものです。 カメラ側のホワイトバランスは5000K固定です。 色温度は製品によりばらつきがあり、出力によっても変わるようですが、 虫系の撮影ではそのままでも十分かと思います。
ただし、顕微鏡で使うと下の写真のようにどうも色が緑っぽくなるようで、 結局補正してます。 スライドガラスのせいかな。
電線を固定する部品です。 とりあえず端子台のカバーを取り付けるネジのところに留めてみました。 電線に比べて大きすぎますが、何か巻き付けるなどしてください。
部品名 | 個数 | 単価、購入先 | 補足 |
---|---|---|---|
抵抗 3W 5.1Ω | 1 | ¥42 マルツ | |
抵抗 2W 10Ω | 1 | ¥31 マルツ | |
抵抗 1W 20Ω | 1 | ¥21 マルツ | |
抵抗 1W 39Ω | 1 | ¥21 マルツ | |
抵抗 1W 82 | 1 | ¥21 マルツ | |
抵抗 1W 160Ω | 1 | ¥21 マルツ | |
MJ-096N DC中継ジャック EIAJ#2 |
1 | ¥105 マルツ | 記事内では別の部品を使ってます |
ML-15-3P 端子台 |
1 | ¥304 マルツ | |
スピーカーコード 赤黒 0.3sq | 1m | ¥63 マルツ | |
電線 AWG26 80℃ 2m x 6色 | 1 | ¥420 マルツ | スピーカーコードが太すぎるし、耐熱性が低い(60℃)ので、 LEDの配線はこちらを使った方が良いかも。 |
シリコングリス | 1 | ¥210 マルツ | |
ケーブルクランプ | 1 | ¥47 マルツ | |
ILH-SJ01-WW95-SC201 1.5W 白色 LED 5000K 95Ra |
1 | ¥986 RSオンライン | |
SW-0522E スイッチングACアダプタ 5V 2.2A EIAJ#2プラグ |
1 | ¥1,279 マルツ | 手持ちにあれば不要 |
※ランプユニット用の部材は含めていません。
半田ごて、はんだ、 ニッパー、ワイヤストリッパー、 ドライバー…
ご注意
・LEDの極性を間違えるとLEDが壊れます。
・LEDは150℃で壊れますので、ハンダ付けは手早く行ってください(1秒ぐらい)。
ハンダ付けが終わったら、息を吹きかけて冷やします。
・LEDは静電気に弱いので、やや注意してください。
・LEDの光を直接見ないようにした方が良いらしいです。
LED の極性は基板にプリントされていますので、 +に赤い線を-に黒い線をハンダ付けします。
放熱器についているので、ハンダ付けが難しいかもしれません。 安い半田ごて(温調でない)は、現在所有していないので、 試せませんが…。
先に電線と電極にハンダを盛っておきます。 次に電線に半田ごてをあててハンダを溶かし、 そのまま電極に押さえつけてやれば、 うまくいくと思います。 半田ごては毎回十分温めてください (温調半田ごての場合は温度を上げます(450℃))。 盛り終わったら、息を吹きかけて冷やしてください。
電線の皮を剥き、ハンダを盛っておきます(予備半田)。
ジャックの穴に、電線を挿入します。 極性を間違えないようにしてください。 赤い線は内側の電極に、黒い線は外側の電極に繋ぎます。 ハンダ付け後、はみ出た部分をニッパで切断します。
※写真の部品はケース取り付け用で、 部品表に有るものとは違ってます。
・抵抗は高温になるので端子台から少し離して取り付けます。
電線の皮を剥きます。 端子台のネジを緩め、プレートの下に導体を挟んでネジを締めます。 プレートの反対側から導体がはみ出るように、皮は長めに剥きます。 ビニール被服を噛まないようにします。 1本の線を取り付ける場合は、左側に挿入するらしいです。
電線はほどけないようにハンダを少し盛った方が良いかもしれません。
BHC用に作ったランプユニットです。 私は、アルミパイプの中央で分割できるようにしましたが、 1本で大丈夫と思います。 ただし電線を裏まで通すのに何か小道具が必要になると思います。
アルミパイプの外径は28mmで、BHCのランプ挿入口の太さは30mmぐらいなので、 紙を巻いて大きさを合わせてます。 カレンダーを20mm幅にカットし、 全面に両面テープを貼り、 適当な太さになるまで巻き付けました。 一番外側にスコッチテープを巻いてあります(なんとなく長持ちしそうなので)。
LED側のアルミ板にはスター基板取り付け用にM3ネジを3カ所切っています。 電線を通す穴を3カ所開けてます。
LEDの裏側にシリコングリスをごく薄く塗ると放熱性能が良くなるらしいので、 そうしました。
茶色いのは、ベークライト製の絶縁スペーサです。 ショートしないか不安だったのと、 LEDの保護用に入れておきました。 マルツでジュラコン(POM)製のスペーサが各種( 3mm、 4mm )売っているので、 そちらの方が短くてちょうど良いと思います。