Raynoxのクローズアップレンズによる高倍率マクロ撮影

ver. 2012-08-06

Raynoxのクローズアップレンズを使った高倍率マクロ撮影について、 初心者向けのテキストを書いてみました。 読み手の対象は 小さな昆虫等の生態をフィールドで撮影することを目的としている人です。 私もこの方法で撮影した経験がほとんどないので、 それなりの出来になっていると思います。 人柱募集中。

上の写真は撮影例で、10円玉の鳳凰さんを撮影してみました。 Canon PowerShot SX230 HS, Raynox MSN-102, デジタルテレコンx2, テレ端です。 9.5倍相当ですがデジタルテレコンを使っているので、4.25倍でトリミングしたのと同じです。 クリックするとオリジナル画像が見れます。


推薦の言葉

クローズアップレンズの原理から工作、 撮影法に至るまでこれだけ合理的かつ実践的なマクロ撮影の手引きは これまで存在しなかったと思います。 ストロボ撮影時の自然光の影響とかスローシンクロの原理など、 他の撮影法にも共通するヒントも多く含まれていて、 小昆虫撮影を始めようという人は必見ですね。
おちゃたてむし

目次


1. クローズアップレンスによる高倍率マクロ撮影の特徴

クローズアップレンズというのは、 カメラのレンズ前に取り付けて、 マクロ撮影を可能にする部品です。 比較的安価で簡単に高倍率撮影が可能になりますが、 性能はそれなりだと思います。

1.1 クローズアップレンズの種類

Raynoxから高倍率撮影に使えるクローズアップレンズが販売されています。 大手のカメラ屋さんから購入できますし、直販もされています。

商品名 ディオプトリ 焦点距離(※1) ワーキングディスタンス(※2)
DCR-150 4.8 208.3mm 210mm
DCR-250 8.0 125.0mm 109mm
MSN-102(※3) 11.8 84.7mm 75mm
MSN-202 25.0 40.0mm 32mm
MSN-505 32.0 31.2mm 18.5mm

下が実物の写真です。 (*)が付いたものは改造されてるので、実物とは違ってます。 MSN-102とMSN-202は表示が同じで、両方とも『4X』と書かれてます。 投資をケチったんでしょうか?

付属品として、アダプター、レンズキャップ、ケースが付いてきます。 レンズキャップははめ込み式ではずれやすいので、 なにか細工をした方が良いかもしれません。 ケースも付いてきますが、大きくて持ち運び用には適しません。

1.2 撮影倍率

撮影倍率(35mmカメラ相当値)は、カメラ側の焦点を無限遠に合わせた場合、
<カメラ側の焦点距離(35mmカメラ相当値)>/<クローズアップレンズの焦点距離>
で求まります。 例えば、カメラ側が400mm相当のレンズで、クローズアップレンズの焦点距離が40mmの場合、400/40 = 10 で、10倍相当の倍率が得られます。 割り算するだけですが、いくつか例を示します。

クローズアップレンズ クローズアップレンズ焦点距離 (mm) カメラ側焦点距離
100mm 200mm 400mm 800mm
DCR-150 208.3 0.48 0.96 1.92 3.84
DCR-250 125.0 0.80 1.60 3.20 6.40
MSN-102 84.7 1.18 2.36 4.72 9.44
MSN-202 40.0 2.50 5.00 10.00 20.00
MSN-505 31.2 3.20 6.40 12.80 25.60

焦点を無限遠より手前にすると、さらに倍率を上げることができますが、 どこまで上がるかは組み合わせによります。 またワーキングディスタンスも短くなります。

1.3 露出倍数が掛からない

カメラ側の焦点を無限遠で使う場合、 撮影倍率を変えても、 露出倍数は掛かりません。 カメラで指定したF値が実効絞りになります。 コンデジを使っている人はよくわからないかもしれませんが、 設定がとても楽になります。 ファインダーも暗くなりません。

1.4 ワーキングディスタンスが固定

カメラ側の焦点を無限遠で使う場合、 撮影倍率を変えてもワーキングディスタンスが変わりません。 被写体を固定したまま、ピントが合った状態で、 撮影倍率を変えることができます。 ディフューザの設計が楽になりますし、 被写体の導入が楽になります。 ビデオ撮影でも威力を発揮します。

1.5 被写体を持ったまま倍率を変えられるのが超ステキ

高倍率マクロ撮影では、右手でカメラを持ち、 左手で被写体の乗った葉っぱ等を持って撮影します。 撮影倍率を変えるのに左手を離さなければならないシステムでは、 良く逃げられますし時間もかかります。 クローズアップレンズとズームレンズを使たシステムでは、 左手を被写体から離さずに倍率を変えられる場合があります。 (1) 電動式では右手でズーム比が変えられるカメラ。 (2) マニュアル式ではレンズの先端を持ってズーム比を変えられるレンズ。

被写体をファインダーに導入する場合も、 低倍率で導入して、高倍率に上げれば良いので、 とても簡単になります。

1.6 収差性能は良くない

カメラ側レンズの設計や取り付け方にもよりますが、 性能はあまり良くないと思います。 同じ条件ではありませんが、

このテストはやり直した方が良いかも

下の図は、私が所有している他のシステムとの比較ですが、 クローズアップレンズMSN-202を使ったシステムは ピントのあっていない部分の色収差や、 周辺部の諸収差が大きいです。 この収差の出方は、カメラ側のレンズの設計にもよります。


中心部

周辺部

1.7 イメージサイズの大きなカメラでピントが合わせづらい

条件によって、以下のような問題が発生します。 (1) ボケボケでピントが合わせられない。 (2) 被写界深度が浅すぎて導入が難しくなる。 条件というのは、カメラ側の開放F値が低い、 イメージサイズが大きい、倍率が高い等です。

以下の表は、 クローズアップレンズがF2.8程度の性能があると仮定した場合の、 倍率の上限です。

この仮定には根拠がありませんし、 組み合わせによっても違うかもしれません。 実機での調査が必要ですが、まだほとんど試してません。 参考程度にしてください。

イメージサイズ F2.8 F4 F5.6 F8 F11
35mm 1.0 1.4 2.0 2.9 3.9
APS-C 1.5 2.2 3.1 4.4 6.0
FourThirds 2.1 3.0 4.2 5.9 8.2
1 inch 2.7 3.9 5.5 7.8 10.7
2/3 inch 4.1 5.8 8.2 11.7 16.1
1/2.3 inch 5.8 8.3 11.6 16.6 22.8

例えば、APS-Cサイズのカメラで、F5.6のレンズをつけている場合、 3.1倍相当付近までにしておいた方が良いということです。 この問題だけ考えた場合、 高倍率に適しているのは、 イメージサイズが小さく、 カメラ側のレンズは適度に暗い方が良いです。

絞り込んだ状態にする機能はあると思うのですが、 実際使えるかどうか、試したことはありません。

開放F値を制限する機能が欲しい > メーカーさん

カメラ側で開放F値を制限するような機能があれば良いのですが...。 たぶん無いと思います。

1.8 被写界深度が浅い

これは対処方法があり、 低倍率で撮影してトリミングするか、 同じことですがデジタルテレコン(クロップ)機能を使うことで、 深くすることができます。 詳しくは撮影方法のところで述べます。

1.9 逆パース現象

下の写真は、1mm間隔の方眼紙を斜めから撮影しているところと、 その結果です。 方眼紙の下の方がカメラに近く上の方が遠いです。 普通の感覚では、近い方が大きく見えるはずなのに、 遠い方が大きく見えていますね。

気持ち悪いですね。 これはカメラ側のレンズの設計とかにもよりますが、 なるべく、カメラ側で倍率を稼いだ方がおきにくくなると思います。 自然観察目的では、問題にはならないと思いますが、 目的によっては使えないかもしれません。

逆パースというのはデッサン用語で、 間違って遠いものを大きく書いてしまう事をそう呼ぶみたいです。

2. 機材と準備工作

2.1 クローズアップレンズの選択

あまり倍率を上げても使いこなせないような気がしますので、 撮影倍率は5倍相当ぐらいをお勧めしておきます。 できるだけカメラ側で倍率を稼いだ方が良いと思いますが、 ワーキングディスタンスが長くても使いにくくなると思います。 400mmまでのズーム可能なカメラ + MSN-102 あたりが良いでしょうか? 倍率は、100mmから使えるとして、約1.2 - 4.7倍相当です。 アスペクト比4:3の場合の撮影できる範囲は、 1.2倍相当で 29mm x 22mm程度、4.7倍相当で 7.4mm x 5.5mm程度です。

ワーキングディスタンスが長いと、 ディフューザを大きくする必要があることと 大きくなってしまいます。 内蔵ストロボでは、 また、ピント合わせのとき、

デジタルテレコンを入れっぱなしで使うのも良いかもしれません。 被写界深度を深くできますし、変倍率も上がります。 トリミングする手間も省けますし。

2.2 カメラとレンズの選択

どのようなカメラとレンズがクローズアップレンズ撮影に向いているのかを 書いてみましたが、 私はそれほどの知識がありませんので参考程度にしてください。

マニュアル露出機能が必要

ストロボ光100%の状態にするために必要です。 無いと暗い場所を除き、手持ち高倍率マクロ撮影は不可能です。

レンズの焦点距離は100mm相当以上が必要

広角側ではケラレるので、ある程度の焦点距離が必要です。 ケラレなくても性能が悪くなります。 レンズの設計や取り付け方にもよりますが、 およそ100mm相当以上が必要になります。

ズームレンズの方が撮影倍率を変えられるので良い

ズームレンズだと撮影倍率を変えられるので良いです。 例えば、 28mm - 400mm相当のズームレンズの場合、100mm以下は使用できないので、 使用できる範囲を 100 - 400mm とし、 RaynoxのMSN-202を使うと 2.5 - 10倍相当の 変倍率4倍のシステムができます。

全群繰り出し型の等倍マクロレンズ等でも、 倍率を可変にすることができます。 最大倍率は、組み合わせや取り付け方によります。 撮影倍率を上げるとワーキングディスタンスが短くなります。 ただ、たぶんイメージサイズは大きいでしょうから、 ピント合わせの問題が出てくると思います。

被写体を左手で持ったまま倍率を変えられるべき

特徴のところでも書きましたが、 高倍率マクロ撮影では、右手でカメラを持ち、左手で被写体を持って撮影しますが、 倍率を変えるときに良く被写体に逃げられてしまいます。 そういった経験をしている人には夢のような機能です。 また被写体を導入するときも、 低倍率で導入してから高倍率に変えれば良いのでものすごく楽になります。 ぜひとも欲しい機能です。

コンデジだと右手でボタンを操作してズーム比が変えられるので 大丈夫だと思います。 機械式ズームレンズだと、レンズの先端を動かしてズーム比が変えられれば、 レンズの先端にフック等を付けておけば、引き出すことも可能になります。 可能かどうか念のため確認してください。 できないカメラは候補からは外した方が良いと思います。

イメージサイズは小さい方が良いかも

後で述べるピント合わせの問題から、 イメージサイズが小さい方が良いと思いますが、 解決策があるならば関係ありません。

イメージサイズが大きいと、同じ焦点距離(35mm相当値)では、 ストロボからレンズの距離が離れるので、 内蔵ストロボを使う場合はプアマンズストロボ的な 大掛かりなディフューザが必要になります。 作るのも面倒だし持ち運びとか操作性とかも悪くなります。

電子式ファインダー

高倍率マクロ撮影では、 ピントが合う範囲が狭いので、 ファインダーの見やすさが重要になってきます。

安いコンデジは普通液晶モニターしかありませんからしょうがないです。 まだ練習中で深くコメントできませんが、見にくいですね。 慣れればなんとかなるんでしょうか?

光学式ファインダー

動くものは光学式ファインダーの方が良いと思います。 手持ち高倍率マクロ撮影では止めようとしても止まらないので、 基本的に被写体は動いてます。 そういった意味では、 光学式ファインダーの方がアドバンテージはあると思いますが、 イメージサイズが大きくなるので、 ピント合わせがしづらくなるという問題もあって、 まだよく調べていないので 使えるかどうかよくわかりません。

クローズアップレンズによる撮影では、 倍率を上げてもファインダーが暗くなることはありません。 それでも暗い場所ではピントが合わせが難しくなるので、 LED照明は必要でしょう。

レンズの口径はあまり大きくない方が良い

カメラ側レンズの前玉はクローズアップレンズより小さくないと いろいろと問題が出ると思います。 クローズアップレンズ側でケラレるので、 一眼カメラだと露出の計算がうまくできないとか。 イメージサイズの大きなカメラの場合、 ピント合わせの問題からも、やや暗いレンズの方が良いと思います。

マニュアルフォーカス機能が欲しい

焦点を無限遠固定にする機能があれば、 マニュアルフォーカスできます。

ビデオ用には被写界深度を深くできるものを

ビデオカメラには、同じアイリス(絞り)でも、 イメージサイズが小さいものがあるので、 そちらを選ぶと良いと思います。 例えば イメージサイズ1/5.8インチで F16まで絞れるものがあるようです。

またデジタルテレコン(クロップ)機能があれば、 イメージサイズが小さいのと同じことなので、 被写界深度を深くすることができます。 また変倍率も上げることができます。

マニュアル調光が欲しい

マニュアル調光でないと撮影が難しい場面もあるので、あった方が良いです。 マニュアル調光できても、細かく設定できなければ、意味がありません。 1/3ステップ単位で指定できれば理想的ですが、 せめて1ステップ単位での設定が欲しいです。 でもそんなカメラはほとんどないです。

グリップが欲しい

手持ちによるマクロ撮影は、通常右手でだけでカメラを持って操作するので、 グリップがあった方が良いです。 右手で持ってシャッターボタンを押せない場合は、 なんらかの工夫をする必要があります。

右手だけですべての機能を操作したい

手持ちマクロ撮影は、右手でカメラを持って、左手で被写体を持つのが基本です。 多少面倒でも全ての操作が右手だけでできるとありがたいです。

マクロ機能

カメラ側にマクロ機能は必要ありませんが、 あればクローズアップレンズ一つで広い範囲をカバーできると思います。

レンズにフィルターネジがあるとクローズアップレンズの取り付けが楽

フィルターネジが無くても、 テレコンとかワイコンを装着するためのアダプタが オプションで用意されている場合があります。

フィルターネジが無い場合は、工作が必要になります。

おすすめ(スチル写真用)

スチル写真用には、 安いコンデジ、 望遠側300mm相当以上、 マニュアル露出可能、 マニュアル調光もしくは調光補正、 マニュアルフォーカス があればよいと思います。

とりあえず、 Panasonic LUMIX DMC-FZ48 をお勧めしておきます(取扱説明書を斜めに見ただけで使ったことはありません)。 本体にフィルターネジが切ってあるようですが、 別売の レンズアダプター DMW-LA5を取り付けて、 そこにクローズアップレンズを装着した方が、 全体の長さが固定になるので具合が良いと思います。 このアダプターのフィルター径がよくわかりませんでした。

FZ48は生産終了みたいですね…

おすすめ(ビデオ撮影用)

ビデオ用には、絞り優先機能、露出補正、 イメージサイズに対して深く絞れる、 等があると良いです。

こちらも Panasonic LUMIX DMC-FZ48 をお勧めしておきます。 絞り優先でF11まで絞れ、露出補正もでき、マニュアル露出でも撮れそう。 ハイスピード録画はできないようです…

2.3 クローズアップレンズの取り付け方

2.3.1 付属のアダプタで取り付ける

カメラ側レンズにフィルターネジが切ってある場合 (もしくはフィルターアダプターがある場合)、 フィルター径が 52mm - 67mmの範囲であれば、 付属のアダプタで取り付けることができます。 なんだか、不安定で外れやすそうですし、大きくてじゃまです。


付属のアダプタ(表)

付属のアダプタ(裏)

2.3.2 ステップダウンリング

フィルターネジがある場合(もしくはフィルターアダプターがある場合)、 ステップダウンリングを使う方法もあります。

ステップダウンリングは、 レンズのフィルターネジに 異なる径のフィルターを取り付ける場合に使用される部品で、 パイプの両端に ♂のフィルターネジと♀のフィルターネジを切ってあります。 ♂の径(カメラ側) < ♀の径(フィルター) をステップアップリング、 ♂の径 > ♀の径のものをステップダウンリングと呼んでいます。 フィルターネジの規格は、 通常ピッチ0.75mmで、省略されるかP0.75等と書かれています。

例えば、カメラのレンズが フィルター径が58mmで、 MSN-102を取り付ける場合(径37mm)、 58-37のステップダウンリングが必要になります。 『58 37 ステップダウンリング』等で検索してみてください。

以下のリストは ステップダウンリングを多数扱っているお店やメーカーです。

RaynoxのクローズアップレンズはMSN-505を除きプラスチック製で、 何回も付けたり外したりを繰り返すといつかネジを潰しそうなので、 クローズアップレンズはステップダウンリングに付けっぱなしにした方が良いでしょう。

2.3.3 パイプを使う

レンズをすっぽり覆うパイプをとりつけ、 パイプの先端にステップダウンリングを接着して、 そこにクローズアップレンズを装着します。 ズーム比を変えるとレンズの長さが伸縮しますが、 その差が大きい場合は、変倍率が小さくなるので、 この方法は使えません。 コンデジ向けと思います。 ズーム比をレンズ側でしか操作できない場合も、 ズーム比が変えられなくなってしまうので、この方法は使えません。

パイプの長さは、 ズーム比を変えて最も伸びた状態(望遠端)に合わせます。 望遠端以外では、 クローズアップレンズとカメラ側レンズの間隔が開きますが、 いちおう使えます。 変倍率等は落ちますし、他にも性能は少し悪くなると思いますが、 やむおえないです。

パイプを使った方法は、以下のようなメリットもあります。 可動部が表に出ないので、がっしりしたつくりになります。 ディフューザが作りやすい。 ピント合わせ用の小道具が装着しやすい、

パイプの素材としては、塩ビ管VU50が使えるかもしれません。 内径約56mm、外径約60mmです。 ホームセンターで売ってます。 私は金ノコで切断しますが、 まっすぐ切るのはけっこう難しいです。 詳しくは他をあたってください。 切ったら耐水ペーパーで切断面を奇麗にします。

接着はエポキシ系のものを使います。 これも少し技術が必要ですが、 接着面に傷をつける、洗う、ストーブで暖める等を行います。 詳しくは他をあたってください。

ステップダウンリングは、 VU50の内径56mmなので、 55mmのオスがちょうどはまると思いますが試してません 八仙堂の55-52ステップダウンリング が金属製で良いかもしれません。 直接落とせないようなので、いったん52mmにします。 もう一つステップダウンリングを使います。

クローズアップレンズ 取り付け径 ステップダウンリング
DCR-15043mm 52mmオス - 43mmメス
DCR-25043mm
MSN-10237mm 52mmオス - 37mmメス
MSN-20237mm
参考

私はちょうどぴったりの中間リングを持っていたので、これを使いました。

2.3.4 他の方法

フィルターネジを回すのもけっこう面倒なので、 簡単に交換できるようにしたいですが、 うまい方法はないでしょうか。 はめ込んでゴムで留めるとか、 フードを改造するとか?

2.4 ディフューザを作る

ディフューザの目的は、 (1)ストロボの光を拡散させて和らげる、 (2)ストロボの光がレンズによって遮られるのを解消、 (3)高倍率撮影では解像度が上がる(かも?)、 です。 できるだけ被写体全体を覆うようにしたほうが良いのですが、 フィールドでは使いにくいので、 ほどほどにしておきます。

コンデジだと レンズの長さが短いので ディフューザも小さく作れますが、 デジ一眼だと大掛かりになってしまいます。

検索すると、いろいろ見つかると思いますが、 試しに簡単なものを作ってみました。

白い素材は、和紙を塩ビ板で挟んだもので、 東急ハンズで購入しました。 色が白いので、私はよく使ってます。 これを写真のように加工して、丸ゴムを通して、結んだだけです。 クローズアップレンズ側には、0.5mmの薄いゴム板を両面テープで貼付けてあります。 元々あるフランジとゴム板の間は隙間を開けておき、 そこに白い板を差し込むようにし、丸ゴムを回して取り付けます。

2.5 機械式ズームレンズに細工する

機械式ズームレンズの場合、 通常ズームリングを回してズーム比を変えますが、 ズームレンズの先端を持って動かしても ズーム比を変えることができます。 これを利用すると左手で被写体を持ったまま 撮影倍率を変えることができます。 コンデジでは右手のレバーでズーム比が変えられるようなので、 そのままで大丈夫です。

被写体に逃げられる頻度が格段に減り、 撮影時間の短縮、 被写体の導入がとても簡単になる、 ビデオ撮影時に撮影倍率を変えられる 等のメリットがありますから、 ぜひともやっておきましょう。

左手で被写体を持ったままズーム比を変えられるようにする

試してませんが、 最低限なにかフックのようなものを付ければ 引っ張りだせると思います。 ピント合わせ棒を持って動かせると良いかもしれません。

2.6 ピント合わせ棒を付ける

高倍率手持ちマクロ撮影では、 左手で被写体の乗った葉っぱ等を持ち、 左手の一部をレンズにくっつけて、 被写体とレンズの位置関係を安定させます。 しかし、ワーキングディスタンスが 長くなるとそれでは安定しないので、 棒のようなものを取り付けると良いです。 邪魔になる場合もあるので、伸縮するようにした方が良いでしょう。 ある程度しっかりしている方が使い勝手は良いです。

下の写真で使っている棒は、 たしか エツミE-190だったと思います。 写真では輪ゴムで取り付けてますが、 付属のネジでカメラの三脚ネジに取り付けられます。 ネジ穴がスリット状になっているので、 前後に位置を変えられます。

ピント合わせの他、 クリップアーム取り付け座、 深度合成用の微動ユニットの取り付け等にも使えるかもしれません

2.7 あると便利?クリップアーム

くねくね曲がる棒の両端にクリップを取り付けた部品です。 背景を作ったりするのに使います。

下の写真は、クリップアームを使用して、 白い紙を背景にしているところです。

2.8 ピント合わせ用LED照明

光学式ファインダーの場合、 クローズアップレンズによるマクロ撮影では露出倍数が掛からないので、 倍率を上げても暗くなりませんが、 暗い林の中とかではピントが合わせづらいので、 あった方が良いでしょう。 電子式ファインダーの場合も、 暗い場所では反応が遅くなったりするようなので、 あった方が良いと思います。

単4電池一本で使えるLEDライトが良いかと思いますが、 私は情報を持ってません。 検索してください。

ビデオ撮影にも使うならばある程度出力があった方が良いかもしれません。

2.9 その他

レンズフードは無くても問題は少なそうです。

液晶フードは合った方が良いかも知れません。

レンズキャップは無くなりそうなので、ヒモを付けておいた方が良いかも。

3. 撮影方法

自然観察を目的とした昆虫撮影では、 ストロボを使った手持ち撮影が適しています。 ストロボ(フラッシュ、スピードライト等とも呼ばれる)というのは、 短時間のうちに強力な光を発生する装置です。 発光時間が短いので、ブレが発生しませんし、 風が吹いている中、動いている虫、暗い場所、逆光 といった自然光による撮影では不可能な条件でも 簡単に撮影できます。 明るさを稼ぐために絞りを開く必要も無いので、 被写界深度もより深くできます。

とりわけ手持ちの高倍率のマクロ撮影では、 被写体止めることができないので、 ブレが問題になるため、 直射日光下でもストロボが必須ととなります。

ストロボの光量は撮影距離の2乗に比例して増やす必要があるので 一般的には出力の指定が難しいのですが、 クローズアップレンズによるマクロ撮影では撮影距離が 固定(クローズアップレンズの種類による)なので、 基本的に出力は固定で使えます(補正は必要)。

3.1 露出の設定

ここではストロボ光100%で撮影する方法を述べます。 自然光の影響を受けない値にし、 ストロボの出力だけで明るさを調節します。 とても簡単でブレも発生しません。 自然光を取り入れる場合は、別途スローシンクロのところで述べます。

露出モードをマニュアル(M)にする

露出モードをマニュアル(M)にします。

F値はカメラで設定可能な最大値にする

クローズアップレンズによるマクロ撮影で、 カメラ側の焦点を無限遠で使う場合は、 設定可能な最大値にしてください。 下の表のような値だと思います。 テレコン等を装着するとこれ以上に設定できますが、 被写界深度を稼ぎたい場合に大きくしますが、 回折現象により解像度は落ちます。

イメージサイズF値
APS-C 32
FourThirds 22
1 inch 16
2/3 inch 11
1/2.3 inch 8
ISO感度は低く設定

ISO感度は低い値(100等)に設定します。 ただし、ストロボの出力が足りない場合は、上げざるをえません。

シャッタースピードは自然光の影響を受けないよう高速に

シャッタースピードは、自然光が入らないように短く、 ストロボの発光時間より長く設定します。 電子シャッターの場合は1/2000あたりに設定します。 機械式シャッターの場合は可能な限り高速にします(1/160秒前後だと思います)。

影を作る

最低の露出でも 被写体が自然光の影響を大きく受けるようなら、 影の中に置けるか考えてみましょう。 背景が自然光の影響を受けるのは問題ありませんが、 後で述べるスローシンクロで、詳しく説明します。

マニュアル露出機能が無い場合

基本的に使えません。 露出補正-2EVにしても、 自然光の影響を受けてブレが発生するので、 とてもぼやけた写真になってしまいます。

シャッタースピードの制限があるようなので (例えば1/60以上にはならない)、 暗い場所では自然光での影響を受けない露出にできますが、 限定された条件でしか使えません。

3.2 ストロボの出力設定

ストロボの出力の設定を調光といいます。 自動調光とマニュアル調光がありますが、 ほとんどのカメラは自動調光しかできません。

※ちなみにハード的な制御方法も調光といいます。

3.2.1 自動調光

ストロボの出力をカメラにお任せする機能で、 カメラは一度低出力で発光し(プリ発光という)必要な出力を測定後、 もう一度ストロボ発光させて本番の撮影を行います。 機械の処理はそれほど賢くありませんから、 基本的に補正する必要があります。

調光補正で修正する

調光補正はカメラが自動的に計算する量に対する補正値で、 通常 -2EV 〜 +2EVの範囲で 1/3EV単位で指定できます。 プラスにすればストロボの出力が上がり、 マイナスにすれば出力は下がります。 モニタ画面で見ながら調整すれば良いでしょう。

カメラによっては調光補正が無いかもしれませんが、 その場合は露出補正でできると思います。 未確認

モニタ画面で確認

とりあえず一枚撮影して、 明るければマイナス側に暗ければプラス側に 修正すればよいです。

出力のごまかし方

濡れた樹木のように背景が極めて暗く、  被写体が小さくて白っぽい場合、 調光補正では補正しきれない場合があります。 その時は、明るいもの写し込んでごまかします。 下はピンク色の紙切れを写したものですが、 調光補正-2EVでも白トビしています。 右は爪の先を写し込みました。


調光補正-2EVでも白トビ

調光補正-2EV & 爪を写し込む
ストロボの出力は調整可能な範囲があります

上限もありますし、下限もあります。

必要な光量が最大値を超えるとそれ以上出力は上がりませんから、 調光補正をプラスにしても結果は明るくなりません。 カメラにエラー表示はでませんので、わかりにくいです。 対処方法としては、ディフューザの効率を上げるとか、 ISO感度を上げる等しないといけません。

制御可能な最小値もあります。 発光させたら、一定量は出てしまうということです。 必要な光量が最小値以下の場合、 露出補正をマイナスにしても結果は暗くなりません。 この場合もエラーは出ませんので、わかりづらいです。 あらかじめ余裕があるか調べておきましょう。 白い紙をこれまで述べた設定(ISOは100)で撮影し、 調光補正をマイナスにしてグレーに写せれば余裕があります。 ISOを上げて行って、どこまで使えるか調べておきます。 余裕がない場合は、 ディフューザを厚くしておく等の処置を施しておくと良いでしょう。

調光設定の予測

撮影する前に補正値を決定できれば効率的ですが、 カメラが自動計算する値を見積もれなければ、 補正値をあらかじめ予測することはできません。 計算方法はカメラの機種によっても異なり、 計算値は撮影環境によっても異なるので、 難しいです。 基本的には、 撮影範囲全体が暗ければ(暗い樹皮の上とか濡れた地面の上とか) マイナス にし、 明るければ(白い壁の上) プラス にします。

遠景が含まれる場合

遠景はストロボの光が届きませんから真っ黒なのと同じです。 そのため遠景の範囲が多いと多いと調光補正では、 補正しきれなくなるので、 3.3で述べるように背景を選ぶか、 先に述べたごまかし技を使います。

暗い被写体は明るく写す

ディスプレイのダイナミックレンジの関係もあるのかもしれませんが、 黒っぽい被写体を普通に写すと、真っ黒になってしまいます。 好みにもよると思いますが、同定にも役立つので、 明るく写したものを撮っておくと良いと思います。

3.2.2 マニュアル調光

マニュアル調光は、ストロボの出力を直接指定する機能です。 最大出力に対する比等で指定します。 あなたのカメラに、マニュアル調光機能がなければ、 ここを読む必要はありません。

どういった場合にマニュアル調光を使うか

背景が一定であれば、自動調光の方が使いやすいかもしれません。 例えば、葉っぱに乗っている虫を撮影するとき、 ディフューザの光は多くは上から当たるので、 葉っぱの角度を変えると、出力の変更が必要になります。

調光範囲を超えており、ごまかし技も使えない場合は、 マニュアル調光でやるしかありません。

撮影している途中で背景が変わる場合 (動いている虫を撮影している等)、 調光補正をそのたびに変える必要がありますが、 そんな余裕がない場合は、 マニュアル調光の方がややマシです。

ストロボ光に反応して逃げる虫の場合(アシナガキンバエ類とか)、 プリ発光の時点で逃げられるので撮影ができません。 その場合はマニュアル調光で撮りますが、 一回撮影したら逃げられます。

マニュアル調光のやり方

とりあえず一枚撮影し、モニタ画面を見ながら出力を調整すれば良いです。 被写体が暗ければ出力を上げ、明るければ下げます。 効率的に行うには、以下の点に注意しながら 出力の調整量を予測する練習をしていけば、 すぐにうまくなるでしょう。

あらかじめ調べておきましょう

手のひら等をストロボの出力を変えながら撮影して、 色再現性の良い出力を調べ、覚えます。

背景の反射率が低い場合

背景が明るいとそこで反射した光が 光源に加わることになるので明るく写りますが、 背景が暗いとより光量が必要になります。

3.3 背景を選ぶ

背景が遠景だと自動調光では補正が難しい場合があります。 その場合は背景も近景にしなくてはなりません。 また、背景は真っ黒になりますから、被写体も黒いと、 よくわからない写真になってしまいます。

近くにある物を利用する

角度を変えて、近くの葉っぱ等が利用できるか考えてみましょう。

背景を作る

後ろに白い紙等を置くなどします。 指で持っても良いのですが、 被写体も持たないといけないので、指がつりそうになります。 道具を工夫してください。


背景が遠景

後ろに白い紙を置いた場合
明るい場所を背景にする

これはスローシンクロになるので、後で述べます。

3.4 倍率の選択

被写界深度を得るため倍率を落とす

高倍率マクロ撮影では 被写界深度が浅くなります(ピントの合う範囲がとても狭くなる)。 これを解決するのに、一般的には絞り込む方法を使いますが、 クローズアップレンズによる高倍率マクロ撮影では、 もともと最大絞りで撮影するので、それ以上絞り込めません。 被写界深度を得たい場合は、低倍率で撮影してトリミングしましょう。 解像度は落ちますが、それは絞った場合も回折現象によって同じように落ちます。


写真2-1 高倍率で撮影

写真2-2 低倍率で撮影後トリミング

原理は同じですが、 カメラにデジタルテレコンクロップ)機能があれば、 トリミングが不要になります。 特にビデオ撮影では、 デジタルテレコンを設定した状態で 使うと良いでしょう。 ビデオ撮影では解像度が低くても良いからです。 そして、変倍率もほぼ倍になります。

動き回っている虫

3.5 被写体の導入

虫に近づく
虫のいる葉っぱを左手で持つ
ファインダー内に収める

被写体が写る方向ににレンズを向けてある程度ピントを合わせることは、 画角が狭い上に被写界深度が浅いので、けっこう難しいです。

被写体を持ったまま倍率を変えられるシステムであれば、 低倍率で導入しズームボタンで拡大するというのがやりやすいでしょう。

ズームできないシステムでは、 爪の先に印を付けておき、 その印の近くに被写体が来るように、 葉っぱを持ち… という方法を試したことがあります。

3.6 ピント合わせ

3.6.1 マニュアルフォーカスのやり方

カメラ側の設定で焦点を無限遠に固定します。 左手に持った被写体を動かして被写体とレンズの間の距離を調節し、 ファインダーや液晶モニタでピントが合っている位置に合わせ、 シャッターを切ります。

ピントの山をつかむ

被写体を前後に動かすと、 ぼやけた状態からだんだんピントが合い、 またぼやけた状態になりますが、 その中間当たりに ピントがあう位置があります。

沢山撮りましょう

沢山撮れば、いろいろな位置にピントがあった写真が撮れ、 家に帰ってからの作業が大変になりますが、 失敗は少なくなると思います。

3.6.2 オートフォーカスのやり方

オートフォーカスも可能ですが、 ピントの合う範囲はせまいので、 その範囲に被写体を持ってくる必要があります。 持ってくる方法はマニュアルフォーカスの場合と同じです。

ピントが合わせられなかったらエラー音が出ると思いますので、 そうしたら被写体をピントが合いそうな方向に移動して、 もう一度オートフォーカスを作動させます。

手持ち高倍率マクロ撮影では、 オートフォーカスはあまり意味が無いように思うのですが、 どうでしょう? というは、 被写体を固定するのが困難ですから、 ピントを合わせている間に前後に動くので、 オートフォーカスで合ったとしても、 シャッターボタンを押すときにはずれているのが普通なので…

オートフォーカスでピントを変えると、 「焦点が無限遠」で無くなりますから、 このテキストに書かれている、 クローズアップレンズによる撮影の特徴は 成り立たなくなるのでご注意ください。 特に『3.8大きさの測定』が難しくなります。

3.6.3 葉っぱや小枝にいる虫

カメラを右手で持ち、 被写体の乗った葉っぱ等を左手に持ち、 左手の一部をカメラのレンズにくっつけるようにします。 マニュアルフォーカスでは、 被写体を持った手を動かして、ピントを合わせます。


レンズの下に手をくっつける

ピント合わせ棒があると楽

3.6.4 地面や樹皮上等硬い場所にいる虫

レンズを地面にくっつけるか手を入れる等して固定します。 マニュアルフォーカスではカメラを前後させてピントを合わせます。

3.7 スローシンクロ

背景が遠景であり、背景を明るく写る露出にしても 依然として被写体は真っ黒な場合、 背景は自然光で、被写体はストロボ光で撮影することができます。 ストロボを非発光にして、 被写体が暗い状態であれば、 シャッタースピードを落としても問題ありません。 背景は遠景なのでもともとボケているのでブレても問題ないですし、 被写体は依然としてストロボ光100%なので、 ブレることはありません。 スローシンクロとか日中シンクロとか呼ばれている技法で、 背景の選択肢が増えるので覚えておくと良いでしょう。 被写体の境界に黒い線が出ることがありますが、 それは暗黙の了解です。

背景に比べて被写体が十分暗くない場合は難しくなります。 高倍率ではブレてしまうので、他の方法を検討した方が良いです。


ストロボだけの撮影

ストロボ無しで、 被写体が十分暗いことが必要

スローシンクロ
やり方

露出はこれまでと同じですが、シャッタースピードを変えて 露出を背景に合わせます。 ストロボ無しで撮影し被写体が十分暗いことを確認します。 ストロボをオンにして撮影します。 被写体の明るさはストロボの出力で調整します。

影を作る

背景より被写体の方が十分暗いことが条件なので、 被写体が直射日光下にあるような場合は、 被写体を影の中に置けるかどうか、 考えてみましょう。

3.8 大きさの測定

クローズアップレンズによるマクロ撮影で焦点を無限遠で使っている場合は、 Exif情報から被写体の大きさを調べることができます。

物体面の大きさの計算

物体面の大きさ = 撮像面の大きさ / 撮影倍率
撮影倍率 = デジタルテレコン倍率 * カメラ側レンズの焦点距離 / クローズアップレンズの焦点距離

デジタルテレコン(クロップ)倍率や焦点距離は、 カメラの付属のソフトの撮影情報等で、 見ることができると思いますので、自分で調べてください。 クローズアップレンズの焦点距離は、1.1の表にあります。 撮像面の大きさはカメラの仕様として載っていると思います。

最大倍率で測って、 それから計算しても良いと思います。

測定する

画像の幅が、 計算すれば ... 適当な解像度で画像を表示させて、物差しではかります。 被写体の実際の長さ = 物体面の幅 * 表示画面での被写体の長さ / 表示画面での画像の幅

拙作 Potome というソフトを使うと 若干楽になるかもしれません。

物体面に測定対象を置いて撮影する

斜めになると…

大きさを測定するため 一枚

3.9 ホワイトバランス

※まじめにやってる人は少ないので(私もあまりやってません)、 とりあえず、ここは読まなくても良いと思います。

光源の色は光源の種類(晴天、日影、曇り、ストロボ光等) によって異なります。 光源の色が変われば、同じ白い紙を写しても、結果が変わります。 光源の色によらず、無彩色のものを無彩色に撮影するための機能が、 ホワイトバランスの設定で、

自然観察用途では 商品撮影ほどの精度は必要無いと思いますが、 あまりにも色が違っていると、 誤同定にもつながります。

ストロボ光100%の場合

ストロボ光100で撮る場合はストロボに合わせれば良いので簡単です。 色温度の設定でオートにしていれば大丈夫かもしれません。

スローシンクロを行う場合

スローシンクロの場合も、ホワイトバランスはストロボ光に合わせます。 自然光と色調を合わせておいた方が良いので、 ストロボ色温度を少し下げておいた方が良いかもしれません。 そこまでやってる人は少ないかもしれません。

ディフューザの色に注意

ディフューザが白く見えるようでも、透過光では色がついていたりすると、 色が変わってきます。 素材を選ぶさいに注意してください。 もしくは3.9.1で述べる方法で修正できます。

色かぶり

背景が明るいと反射して被写体に色がついてしまいます。 次に述べる方法で、修正できます。

3.9.1 厳密な色再現方法

正確に色を再現するには、毎回無彩色の紙を写し込んでおき、 フォトショップ等のレタッチソフトで修正する必要があります。

無彩色の紙を写し込んでおく

白トビしたり、黒トビしたりすると使えないので、 濃淡の異なるいくつかのグレーの紙を写し込みます。 親指の爪の先等に貼付けておくと良いでしょう。

よくある状況をあらかじめ調べておく

毎回写し込むのは面倒なので、 葉っぱの上、いつもの壁等で無彩色の紙を撮影しておくと良いでしょう。 毎回撮影するよりは誤差は増えますが、元よりはマシになると思います。

ホワイトバランスの設定はマニュアルで

昼光等、固定にしておきます。

Photoshoopで補正

メニューから『カラーバランスを補正』という機能を選び、 写し込んだ無彩色の部分をクリックすれば自動的に補正されます。 Photoshop Element 5 では、 プルダウンメニューの 『画質調整』→『カラー』→『カラーバランスを補正』 にあります。

無彩色の紙が別の画像の場合、 いったんスポイトでパレット?に吸い上げておきます。 無彩色の部分をクリックするとき、このパレットをクリックすれば良いです。

3.10 光モノの撮影

甲虫等の光モノ(ツルツルしたの)をストロボで撮ると 、肉眼で見たのとはまったく違う写りになってしまいます。 これは、全体から光を当てるようにすれば解消できると思いますが、 小さくて頑丈なつくりにしておかないと使いにくそうです。 とりあえずカップラーメンの容器で、 試してみましたが邪魔で撮影が困難です。



普通のディフューザ

普通のディフューザ + カップラーメンの容器

サンプルが良くない

3.11 ビデオ撮影

経験値不足なため、詳しくは書けませんが、とりあえず気づいたことを書いておきます。

クローズアップレンズによるビデオ撮影の特徴

クローズアップレンズによるビデオ撮影では、 ワーキングディスタンスが固定なため、 ピントがあったまま撮影倍率を変えられるのが、 とても良いです。

デジタルテレコンがあれば設定しよう

※その後の調べで、この機能を持つカメラがほとんどないことがわかりました。 ビデオカメラとして販売されている機種は、 同じ絞りの範囲でもイメージサイズの小さいものがあるので、 そちらを使えば良いと思います。

デジタルテレコンもしくはクロップ機能を設定すると、 倍率の選択で述べたように、被写界深度が深くなります。 それから、よりワイド側からケラレなくなるため変倍率が上がります。

リンク先の動画は、ズームレバーを操作して ワイド端からテレ端まで変化させたところを撮りました。 30mm幅ぐらいからケラレが無くなり、最大で4mm幅が画面いっぱいに撮影できるので、 変倍率は7.5倍ほどあります。
http://youtu.be/BoeUdvM8NHc
機材は、 カメラ本体: Canon PowerShot SX230 HS、 クローズアップレンズ: Raynox MSN-102、 LEDライト: 自作1Wです。 設定は、デジタルテレコン2倍、 マニュアルフォーカス無限大です。 手ブレ補正をオンにしてありますが、効果があるのかどうかまだよく調べてません。

照明は明るく

被写界深度を深くするために絞り込みたいところですが、 低価格帯のデジカメのビデオ機能では、 マニュアルアイリス(絞り)可能なものは少ないようです。 そしてオートアイリスだと、 直射日光下と同じくらい明るくしないと 絞られないようです。 幸い被写体は小さいので、至近距離から照らすことでなんとかなりますが、 1W LEDに20mm四方程度の小さなディフューザを付けたものだと、 被写体から10-20mm程度の距離から照らす必要がありそうです。

アイリス優先機能があるものを選択されると照明的には有利です。 2.2でおすすめしたDMC-FZ48には、その機能があるようです。

3.12 深度合成の紹介

深度合成とは、 いろいろな面にピントの合った複数の写真を合成して、 深い深度を得る技法のことです。 高倍率マクロ撮影では、被写界深度が極めて浅いので、重要な技術です。 Wikipediaによると、焦点合成、多焦点合成、多重焦点とも呼ぶそうです。 フリーのソフトがいくつかあって、私はCombinZPというソフトを使ってます。 やや高性能なパソコンが必要になります。 特にメモリを沢山積んでないと苦しいです。 撮影システムとしては微動ユニットが必要になります。 詳しくは他を検索してください。

下の例は胡椒の粒です。 クローズアップレンズによる撮影ではなく、ズームレンズのリバースで撮影しました。 少しずつピント位置をずらした写真を31枚撮影し、CombineZPで合成しました。 合成は自動で、手作業による修正は行っていません。 クリックするとオリジナル画像が見れます。

4. 作例

4.1 Canon PowerShot SX230 HS + Raynox MSN-102 (Hepota)

撮影システムは、 カメラ: Canon PowerShot SX230 HS、 クローズアップレンズ: Raynox MSN-102、 ディフューザは2.4の例で示したもの、 ピント合わせ棒は2.6の写真と同じもの、 他に グリップ、1W LED照明、液晶フードを付けてあります。

設定はx2デジタルテレコンをオンにしてます。 それに関連して出力解像度を少し落としてます。 半分にすべきと思いますが、無かったので2816x2112ピクセルにしました。 1600x1200で良かったかもしれません。

撮影倍率を書きましたが、デジタルテレコンを使用しているので、 半分の倍率で撮影してトリミングしたのと同程度です。 画像をクリックするとオリジナル画像が見れます。 すべてノートリです。オリジナル画像はまったく触ってません。

サクラの葉裏にいたコナジラミの蛹殻

最大倍率(9.5倍相当)で撮影しました。 体長約0.72mmです。 イヌツゲクビレコナジラミだと思いますが、 サクラにつくという情報は無いですね。

サクラの葉裏にいたチャタテムシ類の幼虫

最大倍率(9.5倍相当)で撮影しました。体長約1.5mmです。 チャタテムシ類の幼虫ですが、ウスベニチャタテかもしれません。

ケヤキの樹皮上にいたヤノクチナガオオアブラムシ

倍率2.4倍相当。

セモンジンガサハムシ

倍率2.9倍相当。

4.2 パナソニック LUMIX DMC-FZ28 + ケンコー ACクローズアップレンズ No.5の3枚重ね (おちゃたてむしさん)

おちゃたてむしさんから提供していただきました。 機材はパナソニックのDMC-FZ28と、 ケンコーのACクローズアップレンズNo.5を3枚重ねです。 この場合クローズアップレンズは逆向きに取り付けた方が解像度が良いらしいです。 撮影倍率は1.2〜5.8倍相当だそうです。 色調、コントラスト、シャープネスを編集ソフトで少しいじっているということです。

写真をクリックすると大きな画像が見れます。

イトカメムシ

絞りF8、5.8倍相当で撮影、50%トリミング。


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